事例① 典型的なセカンドオピニオン

訴訟追行について助言した典型的なセカンドオピニオンの事例です。

 事案   大手旅行会社であるA社は、B社のクラウド(SaaS)型ウェブ解析サービスを導入しようと、1か月間の試用をして、評価しました。しかし、同サービスはA社の要求する解析レベルを満たさなかったので、導入は断念しました。ところが、半年ほど経って、試用の際のIDが継続的に使用されているので規定により代金請求するとの通知が来ました。A社にはまったく身に覚えがなかったので断ったところ、間もなく提訴されました。A社は知り合いの弁護士に訴訟委任して、3回ほど期日が経過しましたが、システムの技術的な部分についてどのようなやり取りがされているのか、十分に理解できず、不安に感じたため、ITSにセカンドオピニオンを求めました。

 解決  ITSでは、技術的な関連資料と共に、それまでの訴訟資料をチェックしました。サービス約款の有効性、ID管理の責任関係など主な論点について、概ね正確な主張立証がなされていましたが、最大の争点は、第三者によるIDの不正利用の有無であり、この点についての技術的な説明が足りていない点のあることが分かりました。そこで、その旨を代理人弁護士を含めて報告すると共に、IDの不正利用の技術的な説明をした報告書を提出しました。その結果、6回目の期日までに、B社自身が第三者の不正利用であることを理解するに至りました。他方、A社のID管理にも若干の問題があった可能性が判明しましたが、サービスの性質上、B社には実損が殆どなかったことから、ゼロ和解の結果となりました。

 ポイント  この事案は、人違い型のいわば「えん罪」でしたが、サーバでのログ管理が不十分であったため、使われていたIDは分かっていたものの、現実の利用者(サーバ)の特定が出来ていないまま、訴訟にまで至っていました。もっとも、残っていたログその他の通信記録とネットワーク構成から、おおよその推測(利用していたのがA社のサーバなのか否か程度の特定)は可能であったことから、残りの期日ではその点の主張立証が行われるよう、誘導したのが奏功しました。この事案ではB社も被害者であり、何ら悪意があったわけではありませんが、訴訟を提起してしまった以上、ともかく考えられる主張立証はすべてせざるを得ない状況でした。そのような中で論点を誤って責任論などに深入りすると、おかしな方向に流れる危険があった事例です。

※ この事例は説明用のもので、実際の事件とは一切関係がありません。