当事務所では、以下のようなIT紛争/IT法務の諸問題に取り組んでいます。これらに対して、「IT訴訟/調停」「IT鑑定」「システム監査」「セカンドオピニオン」「開発工程管理支援」といった様々な手段を駆使して対応を図ります。

  • 半数以上のプロジェクトが”失敗”と言われる「システム開発」の紛争対応と未然防止
  • アプリやAIで活発化する「共同開発」のノウハウ管理とレベニュー・シェア対応
  • 理念とビジネスとの間で揺れる「オープンソース/FOSS」への法対応
  • 万が一への備えを通してソフトウェアの提供価値を高める「エスクロウ」の活用
  • 開発、運用、保守のわずかなミスが致命傷になる「システム障害」の予防と後処理
  • クラウドコンピューティング」における利便性とセキュリティ等のリスクの調整
  • クラウド時代の「ASP/SAAS」のライセンスやSLAの適正運用
  • 商流が複雑となって責任関係が不明確になりがちなIT系「販売代理店」の透明化
  • 個人情報や営業秘密など、企業の死活にも関わる「情報セキュリティ」の確保
  • 情報の窃取、不正な競業、フリーライドなど、多様化する「不正競争」への対処
  • 情報システム、デジタルコンテンツ、ドメインなど、「知的財産権」のコントロール
  • BtoBもBtoCも商取引の主流となった「Eコマース」でのトラブル対応
  • 電子掲示板、SNS、オークションなど、「インターネット」上のトラブル対応
  • 社会と経済を変革しつつある「IOT/ビッグデータ」の利活用と規制対応
  • 暗号資産と共に新たな社会インフラを形成しつつある「フィンテック」への法対応
  • 偽装請負や長時間残業など、特有の問題を生じやすい「IT労務」の適正化

 上記の手段や対象は、当事務所が提供しているサービスを分かり易いように類型化したものです。当事務所では他にも、IT紛争/IT法務の全般に対応しています。お気軽にお問い合わせ下さい。

 IT訴訟/調停は、IT紛争について、依頼者の代理人として相手方との訴訟や交渉に当たる、弁護士として最も基本的なサービスです。例えば、次のような場合にご利用頂けます。

  • システム開発が頓挫してしまったので、支払済みの代金返還と損害賠償を請求したい
  • 販売中のパッケージソフトが他社製品の著作権を侵害している、という内容証明が届いた
  • 納品したネットワーク・システムの品質が悪いとクレームをつけられ、交渉が難航している

 IT紛争の場合、その解決手段には多様なものがあります。裁判所やADR機関での訴訟や調停(IT紛争を専門的に取り扱う専門廷もあります。)のほか、裁判所外での任意の交渉、あるいは当事者同士の話し合いにバックヤードから支援に入るという選択肢もあります。それぞれ、費用、期間、解決可能性などに違いがありますので、紛争の性質や置かれた状況などから、最も事案にマッチする解決手段を探ることからスタートします。
 紛争類型としては、システム開発系の紛争のほか、インターネットや電子商取引でのトラブル、システム障害等のIT関連の事件/事故、発信者情報開示・削除請求などがあります。著作権や不正競争防止法関係では、民事だけでなく刑事告訴も視野に入れています。

IT訴訟/調停では、アイティーエス法律事務所のIT弁護士が、依頼者の代理人として相手方との訴訟や交渉に当たります。

 IT鑑定は、IT法、システム開発、コンピュータ、インターネット等に関する専門的な知見、あるいは、これらを具体的な事案に適用した場合の評価・判断を、「専門家の鑑定意見」として提供するものです。例えば、次のような場合にご利用頂けます。

 IT分野は、他の専門分野と比べて、標準的な見解が整理されていないうえ、それらが法的フィルターを通った場合にどのようになるのかは、なおさら不透明です。逆に、ITの世界では誰もが当たり前と考えている常識が、かえって一般の文献・資料に載っておらず、訴訟での立証に苦慮することもあります。IT鑑定では、こうした問題に的確に対応します。

IT鑑定では、アイティーエス法律事務所のIT弁護士が、交渉や訴訟の際に用いることができる法的・技術的な鑑定意見を提供します。

※ 「IT鑑定」では、鑑定としての性質上、鑑定結果についてはご要望にお応えできない場合があります。

 システム監査は、情報システムが企業の目的に沿って企画・開発・運用されているかどうかを、公正中立な第三者であるシステム監査人が評価し、その結果を企業内(経営者や内部監査室など)、あるいは企業外(株主や取引先など)のステークホルダーに報告するものです。例えば、次のような場合にご利用頂けます。

  • 遅延を来たしている開発プロジェクトの問題点とその原因・改善策を知りたい
  • 新取引システムのセキュリティ対策が十分なものであることを取引先に表明したい
  • 情報システム部門が提案している企画について、費用対効果が妥当か検証したい

 問題点を指摘して改善点を提案する「助言型」のシステム監査では、情報システムの安全性・信頼性・効率性のレベルアップを図ることができます。また、一定の基準に照らして判断した結果を意見表明する「保証型」のシステム監査によって、企業としての説明責任を果たすことができます。このシステム監査では、法とITの両面から監査する点に特長があります。

システム監査では、アイティーエス法律事務所のIT弁護士が、公正中立なシステム監査の結果をステークホルダー等に報告します。

※ 「システム監査」では、監査としての性質上、監査結果についてはご要望にお応えできない場合があります。

 セカンドオピニオンは、IT紛争に既に弁護士がついている場合に、IT法の専門的観点から、「第二の意見」を提供するものです。医療分野で患者が主治医以外の医師に意見を求め、一つの見方、一人の専門家に身を委ねるリスクを減らし、より良い「治療=解決」を目指すのと同じです。例えば、次のような場合にご利用頂けます。

  • 現在の訴訟方針が、IT法の専門的観点から妥当かどうかチェックしておきたい
  • 交渉や訴訟追行にあたって、IT法の専門的観点からの策を補充・強化したい
  • 顧問弁護士に正式に相談する前に、紛争についての大まかな見通しを持っておきたい

 セカンドオピニオンは通常、進行中の訴訟への対応など「ファーストオピニオン」があることが前提となりますが、「初診」的な紛争の見立てを行うために利用することもできます。また、単に意見や対案を示すだけでなく、既に動いて頂いている弁護士を積極的にバックアップすることも可能です。

セカンドオピニオンでは、アイティーエス法律事務所のIT弁護士が、IT法務の専門的観点から第二の意見を提供します。

 開発工程管理支援は、要件定義からテスト・導入に至る情報システムの開発工程の全般にわたって(あるいは契約前の企画・提案、導入後の運用・保守も含めて)、ユーザ又はベンダの立場から工程管理をサポートします。例えば、次のような場合にご利用頂けます。

  • 開発規模の増大でトラブルに陥りかけている開発プロジェクトを立て直したい
  • 進捗管理や品質管理など、プロジェクトマネジメントのレベルアップを図りたい
  • 取引相手の言いなりになっていた契約書類を見直して、交渉力を回復したい

 開発類型としては、新規開発、改良開発、パッケージ導入、開発手法としては、ウォーターフォール、スパイラル、プロトタイピング、アジャイル、開発体制としては、シングルベンダ、マルチベンダ、国内再委託やオフショアなど、多様な類型に対応しています。開発工程の一部だけ、プロジェクトが軌道に乗るまで、といった短期の応援も可能です。また、契約書やRFPの他、実施計画書や仕様書などのドキュメント類の作成・リーガルチェックも承ります。

開発工程管理支援では、アイティーエス法律事務所のIT弁護士が、企画段階から運用・保守段階まで、情報システムのライフサイクルの全般にわたって工程管理をサポートします。

 IT法顧問は、システムベンダや各種プロバイダ、ネットサービス・ショップ運営会社など、ITを事業の中心に据えている「IT企業」を対象とした顧問弁護士サービスです。例えば、次のようなニーズにお応えできます。

  • 契約書や約款、仕様書といった契約文書でのIT固有のリスクを回避したい
  • IT系の新事業/サービスにおける法的フィージビリティをチェックしたい
  • IT事業やプロジェクトに伴う日々の課題やトラブルに迅速に対応したい

 一般的な顧問弁護士と異なり、法律問題だけにとどまらず、ITの技術や業界の実務にまで踏み込んで、日々の経営・法務をサポートします。もちろん、基本的なIT用語や業務等について、わざわざ説明をいただく必要はありません。
 既に顧問弁護士をお持ちの企業様も、IT問題に特化した継続的な「技術法務サービス」としてご利用頂くことができます。

 事例1   個人情報保護法の施行や内部統制制度の導入時には、多くの企業が羅針盤のないままの対応に追われましたが、ITまわりの事業には、さらにプロバイダ責任制限法の施行や下請法の情報成果物作成委託への適用拡大など、次々と新たな法的課題が発生しています。顧問弁護士を活用して、こうした課題にタイムリーかつ余裕をもって対応することは、企業の競争力の一つでもあります。

 事例2   契約管理にも、PDCAサイクルがあります。契約書や実施計画書を作成するのが、Plan(計画)、契約に従ってプロジェクトを遂行するのが、Do(実行)、実績を計画に照らしてチェックするのが、Check(評価)、これを契約実務やプロジェクト遂行にフィードバックさせるのが、Act(改善)です。顧問弁護士がいれば、こうしたサイクルを一貫した視点から、シームレスに行うことができます。

 IT法研修は、企業で必要となる「法とIT」に関わる研修を、具体的なニーズを踏まえてカリキュラム作成から行うものです。例えば、次のような場合にご利用頂けます。

  • 営業担当者やプロジェクト・マネージャに、契約法や著作権の基礎を理解してもらいたい
  • 従業員全員に、個人情報や営業秘密など情報セキュリティの基礎研修を施したい
  • 経営者や法務担当者自ら、IT事業におけるビジネス法務を押さえておきたい

 例えば、内部統制における法令や規則、行動規範等の遵守、不正競争防止法での営業秘密の保護の場面では、従業者への教育自体が重要な要素とされるなど、研修も通り一遍のものでは済まない時代となっています。IT法研修は、企業のニーズに沿った実効ある研修を提供します。
 債権法や個人情報保護法の改正など、法改正へのキャッチアップ研修にも対応しています。

 事例1   パソコンの横にパスワードが書かれた付箋が貼られている、これは情報セキュリティに関する定番の笑い話ですが、実は裁判に登場した実話でもあります。これによって、営業秘密としての秘密管理性を否定され、情報盗用に対する責任追及が出来なくなってしまいました。従業者にセキュリティ教育を施しておくことは、企業のセキュリティ・レベルの底上げを図るのみならず、情報資産に対する法的保護の前提ともなるのです。

 事例2  「自炊代行」の問題では一般のメディアの注目も集めましたが、著作権は、特別な業種/事業だけの問題ではありません。自社のウェブや広告上のコンテンツ、外部から購入している情報やデータベース、各部署で導入しているソフトウェアなど、日常的なビジネスの現場に、著作権問題は潜んでいます。意図しない権利侵害を未然に防ぐためにも、著作権に関する一通りの理解は備えておくことが望ましいと言えます。

 IT労務は、特有の労務問題を抱えるIT系の労働現場でのトラブルについて、問題解決と予防策を提供します。例えば、次のような場合にご利用頂けます。

  • 短期間のうちに繰り返される退職と採用に伴う消耗・トラブルを解消したい
  • SES的な客先常駐の運用・保守サービスを偽装請負と疑われないようにしたい
  • 納期遵守のため常態化した長時間労働による高コスト構造を合理化したい

 企業の労務問題への対処は、トラブルが発生してからでは限界があります。開発等のプロジェクト運営と同様、万一の場合のトラブル対応策とそれを見越した予防策を表裏一体として運用することが不可欠です。
 安定した労働環境の実現は、ビジネスそのものの安定化、高度化につながります。

 事例1   IT系の支援サービスによくある客先常駐が続くと、偽装請負を疑われるだけでなく、従業者に対する人事上、あるいは業務上の管理が手薄になって、サービス・レベルの低下や客先とのトラブルをも招きかねません。契約書やサービス仕様書のほか、社内規則、マニュアル類を含め、「労務の仕組み」を構築しておくことで、このような事態を防ぐことができます。

 事例2   考え方を同じくする同志によるベンチャーとしてスタートしたIT企業にも、成長するにつれて、多様な考え方を持った人材が集まってきます。働き方や待遇についても、以心伝心ではなく、客観的な契約の要素が求められます。そうなってから、後追いで就業規則を変えようとしても、「不利益変更」の壁に阻まれて、立ち往生しかねません。成長期こそが、組織を整える機会です。

 ウェブサイト診断は、法人サイトやECサイトなど、事業用のウェブサイトのリーガルチェック・サービスです。例えば、次のようなニーズにお応えできます。

  • ウェブサイトの内容が法規制に違反していないかどうかをチェックしたい
  • ウェブサイトに起因する法的リスク、ビジネス上のクレームを低減させたい
  • 利用規約やプライバシー・ポリシーだけでなく、サイト全体をチェックしておきたい

 ウェブサイトでは、情報の質・量やデザイン、SEOばかりに目が行きがちになりますが、企業と顧客をダイレクトにつなぐメディアとして、法的要素もおざなりにすることはできません。
 ウェブサイトのリーガルチェックを受け、そのレポート結果により修正対応しておけば、法的にもビジネス的にも安心して事業を続けることができます。

 事例1   ウェブサイトに掲載される規程類には、サービス利用規約、個人情報保護規程、プライバシー・ポリシーなど、様々なものがあります。しかし、取引上の契約書類などに比べても、これらに対するリーガルチェックは不十分なのが実情です。また、他社の規程類をそのままコピーしただけであったり、導入時期の違いから相互に矛盾点があったり、という事例も見られます。企業やサービスの実態に合った規約類というのは、本来、最低限の要請なのです。

 事例2   消費者向けのネットショップを運営する、それだけで、消費者契約法、電子消費者契約法、特定商取引法、景品表示法、不正競争防止法、個人情報保護法、商標法、著作権法……といった様々な法律の規制を受けます。気づかないうちに、法的リスクを抱えたサイト、果ては「違法サイト」となってしまう危険があります。無用な法的リスクに患らされることなく、ビジネスに集中したいものです。