IT法務の基本③ サービス契約
IT系の業務委託契約としては、システム開発やインフラの敷設といった請負類型のものも重要ですが、実数として(圧倒的に)多いのは、準委任類型のサービス系の契約です。多くの場合、期間に応じた報酬体系となっており、サービス業務が提供される限りはそれに応じた報酬の支払義務が発生します。
サービス契約の場合、システム開発契約のように、合意が不明確なままに着手されることは通常はありません。ただ、新規開発のシステムの開発ベンダが稼働後に保守を担当する場合、稼働当初は不具合の対応に追われるなどして、開発契約から保守契約への切替の時期が不明確となるといったことはあります。
サービス遂行中のトラブルの場合、その内容や程度によっては契約を解除することができますが、あくまで将来分を解除するにとどまり、遂行済みの部分を解除して報酬の返還を請求することはできないのが原則です。ただし、遂行結果に問題があり、それに起因して損害が生じている場合は、損害賠償請求することができます。